Road to CHAMPIONSHIP!!!
全ては頂点のために。
ついに始まった、壮絶なる戦い。
“ターキッシュ エアラインズ bjリーグ 2014-2015シーズン PLAYOFFS”
2015年5月3日、杜の都・仙台。
例年のGWとは違い、非常に暖かい陽気に包まれた、日本列島。
しかしながら、会場となった仙台市体育館は熱気に包まれ、夏本番か?と思わせる気温だった。
イースタンカンファレンス・ファーストラウンドの対戦、仙台89ERS vs 青森ワッツの一戦。
レギュラーシーズン最終節から数えて4連戦目となった、このゲーム。
前日のGAME1をクロスゲームで制して、王手となった青森ワッツ。
このまま40分間でゲームを決め、アップセットで次のラウンドに進みたい。
一方のホーム・仙台89ERSは、残り50分間を絶対に勝たなくてはいけない状況。
後がない状況だったが、イエローに包まれたホームコートの中で、たくさんのブースターの声援を力にし、ホームを守りたい。
そんな両者のプライドがぶつかり合った一日がスタートしたのである。
<スターティングメンバー>
■仙台89ERS
#4 志村 雄彦
#14 佐藤 文哉
#6 菊池 真人
#1 ケジュアン・ジョンソン
#0 ジェラル・デービス
■青森ワッツ
#1 澤口 誠
#7 北向 由樹
#42 ジーノ・ポマーレ
#3 小島 祐太
#13 ポール・ウィリアムス
トランジションバスケット vs ハーフコートコントロールバスケット
対照的な両者が、絶対に負けられない戦いに臨んだ。
■1Q
前日のゲームからゾーンディフェンスを敷いて、相手のインサイドとリバウンドをチームでカバーしようとしたナイナーズ。
それが功を奏し、大観衆のイエローブースターの声援を背に、自分達のペースでゲームを進めて行った。
まずは、ナイナーズ#1ジョンソンが3Pを決めてスタート。
ワッツも#1澤口と#3小島のアウトサイドで応戦して行くが、ナイナーズの早い展開のバスケットに点差が徐々に開いていく。
#1ジョンソンのパスから、#6菊池・#4志村がファストブレイクをしっかり決め、更には#0デービスのゴール下のシュートも決まり、ロースコアではあるが、ナイナーズペースの展開が続いていく。
中盤はお互い負けられないという気持ちからか、シュートがなかなか決まらず、我慢の展開が続いていく。
それを打ち破ったのは、”MVP”#1ジョンソンだった。
彼が持っている独特のリズムからドライブを決めていくと、こう着状態のゲームが動き始めた。
一気に相手を突き放そうと更にディフェンスでも奮起し、相手にゴールを決めさせないナイナーズ。
そんな中で#44モスのゴール下、更には#41ホワイトのタフなドライブが決まり、残り1分を切っても流れは変わらず点差が二桁に。
残り23.8秒には、#33高田→#44モスとテンポよくパスが繋がり、最後は#41ホワイトが巧みなカットインからレイアップを沈めて、終了。
19-9と10点ナイナーズがリードで2Qへ突入。
■2Q
このまま流れが継続されるかと思いきや、ワッツがテンポ良いボール回しからアウトサイドで起点を作り、一気に点差を縮めていく。
まずは#42ポマーレのドライブでスコアを決めて行くと、今度はポッカリと空いた中央をドライブで切り裂き、豪快にスラムダンク!
この流れを変えたいとナイナーズがタイムアウトを請求したが、それでもワッツの流れは継続されていく。
今度はアウトサイドシュートが思うように決まっていく。
#14高橋のパスから#33クライバーが3Pと決めて行けば、今度は逆のパターン#33クライバー→#14高橋のコンビで2連続3Pを決める。
この後、相手のオフェンスをタフファールで止めた際に両者が一気にヒートアップ!
プライドを掛けた絶対に負けられない戦い、あわや乱闘になり掛けたが、両者を引き離し、ここは事なきを得ず。
その後、ワッツ#42ポマーレの見事がオフェンスリバウンドのこぼれ球を、そのまま押し込み同点に!
しかし、ナイナーズもオーリーオフェンスから#4志村のパスを受けて#14佐藤が豪快に3Pを沈め、ここでオフィシャルタイムアウト。
24-21とナイナーズ3点リードの展開。
オフィシャルタイムアウト明け、#1ジョンソンのスティールからのファストブレイクでナイナーズがリードを広げる。
それでもワッツは落ち着いていた、#42ポマーレがここでも躍動し、チームを牽引。
#11山口のパスを受けてドライブを仕掛ければ、更にはAND1プレー、最後は自らスティールして豪快にワンハンドダンク!
わずか1分間の間に7PTSと素晴らしい活躍でワッツが逆転を見せた。
ここからは一進一退の攻防が続いていく。
ワッツは#7北向・#14高橋を中心にゲームを組み立てていき、ゲームを支配しようとして行く。
一方のナイナーズも残り12.1秒で#0デービスが#1ジョンソンのアリウープパスを豪快にワンハンドダンク!
会場は歓声に包まれ、前半が終了した。
32-35でワッツが3点リードで後半へ。
■3Q
序盤はナイナーズペースでゲームが進んで行った。
ナイナーズの顔でもある、#4志村がゲームの中心に君臨し、チームが流れに乗って行く。
まずは#1ジョンソンのコンビでファストブレイクで加点をしていくと、次は3Pを決め、更に最後は相手のファールを受けながら、3Pを豪快に沈めて4POINTプレーを完成。
彼の気持ちが一気にコート上で爆発し、4POINTプレーを決めた後には観客を煽って、更にホームコートは大歓声に。
スタートから2分間で41-36とナイナーズが一気にリードを広げて行った。
ここでたまらずワッツがタイムアウトを請求。
そこからはなかなか5点差が縮まらない展開が続いていったが、残り6分を切って、ワッツが大切にしているインサイドでのプレーで起点を作り、点差を徐々に縮めていく。
#42ポマーレ・#13ウィリアムスの2枚看板がペイントエリアでしっかりと仕事をして、相手ディフェンスの焦点をなかなか絞らせない。
そんな#13ウィリアムズがスティールから独走でファストブレイクを決め、更にはオフェンスリバウンドも体を張って奪取し、リズムをワッツのものにして行った。
1分間の間で一気に47-47の同点に持ち込むワッツ。
その後はお互いのディフェンスが冴え渡り、オフェンスでリズムを掴めない。
リーズボールやペイントエリアでの攻防も更に激しくなり、お互いのプライドがぶつかり合う激しい戦いとなって行った。
残り2分を切ってからは全くスコアが動かない状況となったが、残り36.1秒でワッツ#12高岡がショットクロックぎりぎりで2Pシュートを華麗に沈め、ワッツベンチ・ワッツブースターが大いに沸いた。
51-54のクロスゲームの展開で最後の10分間を迎える。
■4Q
全てはここで決まった、そんな10分間となった。
こういうゲームではディフェンスで、どれだけ我慢が出来て、自分達のペースに持ち込むかと言うのがポイントとなった。
序盤はそういう展開になり、全くスコアが動かず、展開を打開するためにタイムアウトを請求したり、メンバー交代で流れを変えようとするが、こう着状態は続いて行った。
そんな中、2人の日本人が全てを変えた。
それがワッツ#11山口と、#14高橋。
英語でのコミュニケーションも堪能で、外国人プレーヤーをコントロールできるガードコンビ。
まずは#11山口がオフェンスリバウンドに飛び込み、そのままタップシュートを決めるBig Playを魅せれば、今度は#14高橋が絶妙なスティールからファストブレイクを決め、更に3Pを相手リングに沈める。
53-63と点差が10点に広がった瞬間に、オフィシャルタイムアウトを迎えた両者。
ワッツベンチは大盛り上がりを見せていた。
タイムアウト明けも3P攻勢でワッツが一気にリードを広げる、主役の#11山口・そして#33クライバーと2連続3Pを沈め、最後は#11山口がドライブでファールを受けてフリースローを得る。
しっかり沈めて、残り3分で53-71と点差は一気に広がった。
それでも負けられないナイナーズは、ディフェンスプレッシャーをより相手に掛け、持ち味の速い展開でのバスケットでリズムを掴み返そうとする。
残り2分手前には#1ジョンソンのパスを#14佐藤が久しぶりに3Pで決め、まだまだ行けると会場全体のナイナーズブースターにアピール。
そんな相手のプレッシャーを落ち着いて掻い潜り、自分達のコントロールバスケットを展開したのがワッツだった。
慌てず時間を使い、ショットクロックギリギリまでゲームを巧みにコントロールして行く。
残り1分を切って点差が離れた展開でも、ナイナーズ#4志村が意地とプライドを見せ、3Pにスティールからのドライブと絶対に諦めないという姿勢を会場に見せ続けた。
最後はワッツ#14高橋の手にボールが収まったところで、運命のブザーが鳴り、ゲームが終了した。
64-79
レギュラーシーズン6位の青森ワッツがアップセットを完成。
敵地での2連勝で、カンファレンスセミファイナルへの切符を手にした。
PLAYOFFS ファーストラウンドで唯一のアップセットとなった、このカード。
勝敗を分けたのは、ゲームでのアジャストメントだった。
1Qはナイナーズが素晴らしい入りを見せ、更に自分達の持ち味でもあるボールをプッシュして、早い展開でスコアをメイクして行ったのである。
更にはリバウンドでもチーム全体で集中力を見せ、相手に思うようなプレーをさせなかった。
しかし、2Qに入るとワッツは自分達の持ち味でもあるインサイドにボールをまず入れて、ゲームを展開して行くことをしっかりと続けたのである。
慌てず自分達のバスケットを冷静に展開して行く姿は、虎視眈々と勝利を掴もうとするライオンのようだった。
そこで縮まった点差、ベンチもコート上のプレーヤー達も思うような展開と感じていたであろう。
プライドを掛けたゲームは、後半に突入して行くのであるが、ここでも我慢してじっくりと時間を使っていくワッツ。
一方のナイナーズは徐々にプレッシャーからか、レギュラーシーズン非常に良かったシュートセレクションが悪くなっていく。
これがプレーオフの魔物か?と感じてしまうほどだった。
ここでポイントになったのが、ゲーム後に青森ワッツ#7北向が言ってくれた一言。
「#4志村にやられてしまったが、絶対に#1ジョンソンと#14佐藤にはボールを長い時間持たせたくなかった。あの二人にやられたら、自分達のリズムが狂う。」
確かにこのゲーム二人はボールを持っていたが、長い時間ずっとボールを持っていなかった。
スコアラーと言うのは、どんどんボールを持って、何度もシュートを打つことによって、得点感覚のリズムを生み出す。
それをワッツは潰していたのである。
そしてオフェンスではしっかりインサイドを徹底的に付いて、プレーしていた。
北向が言ってくれた、もう一言。
「そして、自分達にはインサイドがリーグNo.1であるという自信がある。」
チームでのゲームへのアジャストメント、全員が統一した意識で80分間を戦っていたのであった。
それが全てなのかもしれない。
とは言え、ナイナーズがそうじゃなかったわけではない。
ホームでGAME1を落としたが、「明日は50分戦います。」と河内HCは公式コメントで残した。
プレーヤー達はしっかり切り替えていたのであろう。
しかし、プレーオフの魔物と言うのが存在していたゲームだった。
いつもは冷静なプレーヤー達も少しずつディフェンスでローテーションが崩れ、それがオフェンスに悪い流れで繋がって行ったのである。
いつもと違う流れ、いつもと違う独特な雰囲気に、チームはペースを長い時間握る事が出来なかった。
バスケットボールの神様は、ホームの大歓声を背にしたプレーヤー達に、微笑みを見せてはくれなかった。
<主なスタッツ>
■仙台89ERS
#0 ジェラル・デービス:8PTS/3BLK
#1 ケジュアン・ジョンソン:11PTS/5REB/5AST/4STL
#4 志村 雄彦:19PTS/5REB/5STL
#41 ウェンデル・ホワイト:10PTS/5REB
#44 エイドリアン・モス:5REB
■青森ワッツ
#7 北向 由樹:2STL
#11 山口 祐希:10PTS
#13 ポール・ウィリアムス:12PTS/12REB/4AST/2STL ※ダブルダブル
#14 高橋 憲一:10PTS/4AST
#33 ゴードン・クライバー:8PTS/8REB
#42 ジーノ・ポマーレ:21PTS/13REB/2STL/3BLK ※ダブルダブル
(PTS:得点、REB:リバウンド、AST:アシスト、STL:スティール、BLK:ブロックショット)
(ダブルダブル:主要なスタッツ2項目で二桁の記録を残すこと。)
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