“ターキッシュ エアラインズ bjリーグ FINALS 2015”
前回からお届けしている総集編、第2弾。
■総集編第1弾はこちらから。
The greatest memory of ARIAKE. The impressive scene.
記念すべきリーグ創設10年目のラストダンス。
聖地・有明コロシアムは、やはり最後は”full house”だった。
1万人を超える観衆が聖地中央の長方形のコートだけを見つめ、最後の瞬間を固唾を飲みながら凝視し、そしてビール片手に熱狂する者がいれば、赤とピンクの戦闘服を着た男たちに全てのパワーを使って後押しする者もいた。
コートサイド中央には、あの日本バスケットボール界を半年で変えた熱すぎる男”川淵 三郎”がNBA仕様のチェアに座りながら真剣にゲームを見つめ、時より喜怒哀楽を見せる。
ドラマの結末は最終第4Q、残り1:07に起こったMVPの3Pから始まった。
2015.5.24
THE FINAL GAME
いよいよ始まるんだという会場の雰囲気、何か独特な緊張感に包まれ、ドラマが起こる予感がした。
アリーナに人が集まるに連れて、聖地全体の気温がぐんぐんと上がり始め、ゴール下に座っているだけで額から汗が落ちてくる。
そして、彼ら二人も準備万端だった。
秋田から彼も悲願のチャンピオンシップ獲得を後押しするためにやってきた。
そして、全ては一つだけあるチャンピオンシップのために。
ついに始まる、ラスト40分。全ては、ひとつしかない頂点に立つために。
全ては、聖地・有明コロシアムで紙吹雪を浴びるために。
全ては、チャンピオンシップトロフィーを高々と掲げるために。
全ては、最後に自分達だけに当たるスポットライトを浴びるために。
そして、誰もが味わえない最高の気分を自分のものにするために。
THE ROAD ends HERE!!!
クロスゲームが続き、我慢の展開が続く。
これこそ、シーズン最後のゲームと言わせるような戦い。
お互いが相手のやりたい事をやらせないという気迫がディフェンスに現れ、非常に緊迫した展開となっていった。
ゲームは第4Q:残り1:07、MVPに輝いた浜松・東三河フェニックス #20ナイル・マーリーの”The Clutch”な3Pシュートで同点に。
67-67のスコア。
そのタイムアウトでコート上の雰囲気を変えるかのように、華やかに彩る妖精達。
そして、ドラマは既に始まっていたのである。
タイムアウトが終わり、ハピネッツの攻撃。集中した男達がコート上に戻ってきた。
実はコートサイドで、こんなやり取りが行われていた。
実はタイムアウトで、既に誰がファーストオプションでオフェンスを組み立ててくるのかを、”クラッシャー”ことフェニックスの東野 智弥HCは知っていたのである。
だからこそ、田口にモー・チャーロー、そしてリチャード・ロビーにナイル・マーリーをマークさせるディフェンスオプションを、この重要な局面で出してきたのであった。
そのタイミングで、フェニックスが抱えていたファールトラブルという問題。
ある意味、最後の最後にギャンブルを仕掛けてきた。
それでもコートに向かっていった選手たちを信じていた、クラッシャー。
そして、クラッシャーのギャンブルは見事に当たる。
田口が放った3Pを、モーがブロックし、そこからファストブレイクに繋がっていった。
最後はオルー・アシャオルが豪快にスラムダンクを決めていった。
すぐさまタイムアウトを請求する、ハピネッツ。
まだ2点差、時間はある。
しっかり自分たちのプレーを確認する、プレーヤーたち。
タイムアウト明け、このチャンピオンシップを獲得したい想いが、ディショーン・スティーブンスのドライブにつながり、ファールコールが鳴る。
全てが決まるかもしれない大きなプレッシャーの掛かった瞬間、彼はこのプレッシャーに打ち勝ち、2本のフリースローを冷静に沈めた。
残り25.9秒。
フェニックスがタイムアウト、全てをモー・チャーローのアイソレーションに託した。
そして、彼が仕掛けた。
コーナーには、あの前回のチャンピオンで3P記録を作った、大口 真洋が待っていた。
しかし、モーが顔を上げた瞬間に猛然と横を走る一人のプレーヤーが居たのである。
30秒前に豪快なスラムダンクというBig Playを演出した、オルー・アシャオルだった。
そして、リングに近い場所にいるオルーに咄嗟の判断でパスを出した。
彼を信じたのであった。
そして、オルーは2つ目のBig Playを見事に決めていったのであった。
残り3.1秒。
歓喜に沸く、フェニックス。
そして、すぐさまタイムアウトを請求するハピネッツ。
まだ、3.1秒あるのだ。
ドラマはまだ終わらない。
そして、キャプテンは冷静だった。
大石 慎之介、地元に戻ってきて3年目。
託されたキャプテンとしてのプレッシャー、究極に苦しかったシーズンであった。
それを払拭するのは、最後相手にスコアをさせないこと。
全てが決まる、ラストプレー。
ハピネッツは2点以上スコアをすることしか、チャンスがない。
3Pであれば、劇的なチャンピオンシップ獲得になる。
サイドライン中央からスタートしたプレー、ボールは田口に渡るが、全くシュートを打たせてくれない。
そこにやってきたのは、リチャード・ロビーだった。
バスケの神様は、まだドラマを作らせた。
フェニックスのマークがズレて、フリーになるロビー。
彼は躊躇せず、ブザービーターという最高の瞬間を作るためにラストショットを放った。
ラストショット。
ブザーと同時にリングに弾かれ、全てが決まった。
71-69
浜松・東三河フェニックスが4シーズンぶり3度目のチャンピオンシップを獲得した。
フェニックスレッドが王座奪還を果たしたのであった。
悲願のチャンピオンを獲得したフェニックスは歓喜に湧き、有明で味わった屈辱の借りを返す事ができなかったハピネッツは崩れ落ちる。
勝者と敗者のコントラスト。
スポーツは勝敗が必ずついてくる。
そして、時に残酷な瞬間を表現させるのであった。
喜びと悔しさ。
相対する感情が交わった、聖地・有明コロシアム。
この光景がしばらく変わる事は無かった。
田口 成浩は、コート中央で顔を上げることがしばらくできなかったのであった。
記念すべきリーグ創設10年目の最終決戦。
劇的なドラマが、物凄く詰まった72時間となった。
そして、バスケットボールの素晴らしさを数多くの人に伝える事ができた戦いでもあったであろう。
全てを賭けた戦いには、最高の瞬間と最高の感動をもたらしたのであった。
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ターキッシュ エアラインズ bjリーグ OFFICIAL HP
浜松・東三河フェニックス
秋田ノーザンハピネッツ